2013年度 東北芸術工科大学 卒業/修了研究・制作展
2013年度 東北芸術工科大学 卒業/修了研究・制作展を観てきました。
http://www.tuad.ac.jp/sotsuten/
日本画学部の久松知子さんの作品。タイトルは「日本の美術を埋葬する」。
日本の美術界の色んな人々が描かれている。
クールベの「オルナンの埋葬」のパロディで、犬に岡本太郎の作品が用いられてたりと遊び心が満載かつ、徹底的に真剣に真面目に描かれた作品だと思う。
実物を近くで観ると、アクリルで描かれた表面の上に岩絵の具が撒き散らすように乗せられているのがわかる。透き通るようなブルーのアクリルで描かれた平山郁夫の上にも岩絵の具が撒き散らされていて、そこだけでもかなり面白い。
こちらは黒瀬陽平&黒瀬陽平本人…嬉しそう。
今回は久松さんから黒瀬さんに直々に手紙が届き、それがきっかけでカオス*ラウンジの三人で卒制を観に来たという経緯があった。聞いた所によると描かれた様々な美術に関する画家、批評家などの著名人にそれぞれ手紙を書いて送ったとのこと。そのプロセスを含めて素晴らしい作品だと思ったので思い切って東北芸工まで来てみたんだけど、全体的にクオリティの高い作品が多かった。
有り体な言い方になってしまうけど、ちゃんと自分と向き合って描いている人が多かった。全員、画面の中の情報量のバランスへの意識が行き届いていた。
今、何かを描くというのは選択肢が多くて実はすごく難しい。東京やネットは情報量が多いので自分と向き合う前に様々な魅力的な選択肢の中から拾ったり捨てたりする作業がまず必要になる。下手したら四年間その取捨選択の作業だけして、結局何も選択できずにグダグダになってよくわからないまま卒業してしまう人は美大にとても多い。
東北芸工は選択肢が限られているという環境が、学生にとってすごく良い影響を及ぼしているのかもしれない。駅から離れると本当に山しかないんだけど、そういう環境で風景か自分と向き合うしかないという状態は作家的にはやはり魅力的だろう。そこで古典的な表現に陥らず、自然と現代的なモチーフが扱えていたり、自分の内面の葛藤の問題が処理できてる絵が多かったのがすごい良かった。
作家の展示スペース内での振る舞いも全体的にとても良かった。挨拶の感じとか、来場者に対する視線や気の配り方とか、作品をつくって人に見せる人間としての意識がしっかりと張り詰めていた。つまり意識が高かった。それぞれの学科で作家の顔と名前と連絡先が載っているカタログを売ってたのも良かった。
時間がなかったのでほぼファイン系しかみれなかったけど、来年も来ようと思わさせるには十分な作品達だった。というか来年はもうちょっと計画的に時間を作ってゆっくり回りたい…
会期はあと一日しかないけど、雪の中観に行く価値があると思う。
東京の美大を出た人間として、ちょっと頑張らねばなという気持ちになりました。
東京都美術館にも選抜された作品が巡回するらしいですが、やはり現地で観るのがベストだと思います。
田中望
ハタ ユキコ
山口香織
鶏肉ちひろ
おじま ちさと
永井里枝
渡辺綾
森谷芽以
柴田梓
大城龍馬
鳥越渚
松本史子
生井知見
清水紗和子
柴崎成未