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梅沢和木 + TAKU OBATA 「超えてゆく風景」自作品解説

ワタリウム美術館で開催された梅沢和木 + TAKU OBATA 「超えてゆく風景」に出品していた作品について、自作に関するテキストを一緒に展示していました。全作品の解説を書こうと思っていたのですが残念ながら間に合わず。展示写真とともにこちらに再掲しておきます。ブログ用に一部修正してたり、テキストが間に合ってないものなどもあります。

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□前置きと「ラヴォス

残念ながら今回の展覧会には出品されていないけど、自分の中で重要な初期の作品で「マイピクチャ」、「画像の存在証明」、「画像かわいよ画像」、「ネオエクスデス」、というのがそれぞれある。いずれも、インターネットやアニメやゲームなどのキャラクター文化に特に耽溺していた時期に制作したものだ。多くのオタクがそうであったように、自分は小学生から中学生くらいにかけては、アニメを見ることに対して独特の後ろめたさがあった。高校生の時は曖昧な時期だったが、正面からそれらを好きだと認め本気で鑑賞し、関連する情報や画像をネットで集めることを始めたのは美大に居た頃だった。在学時代は抽象的な映像作品を作ることを志していたのだけど、途中から挫折して自分の好きなアニメやゲームやネットに現実逃避するかのように本気でハマり時間をたくさん使うようになった。PCのHD内に日々集めた大量の画像達を整理し、好きなキャラ同士を限られたデスクトップの壁紙上で表示するためにPhotoshopで組み合わせ、画像データのサイズがどんどん大きくなっていき、1920pixelが3000、5000、10000、20000pixelとなっていくうちに当時使っていたノートPCの処理が追いつかなくなっていく。最初は冗談のような発想で、「これを作品として発表したほうがいいのではないか?」と考えるようになる。windows(当時XP)のデフォルトの画像保存フォルダの名称である「マイピクチャ」と同名の作品はHD内に保存されたアニメ、ゲームのキャラやいわゆるネットの面白画像からエロ画像、コスプレ写真、政治家の画像、家族写真まで様々な画像を一度自分の手でトレースした絵をスキャンしてまた画像にしたりしてギャラリー壁面を覆い尽くしたインスタレーションだった。色の使い方がわからないのでこの頃は作品がモノクロだった。トレースしたイメージにPhotoshopでコラージュした様々な画像を加えて出力し、抽象的だが風景のようにも見えるイメージをムサビ(武蔵野美術大学)構内のPC室の壁面へ展開したのが「画像の存在証明」という作品だった。ネット上の画像には色が付いてる事が多いので、この頃の作品からモノクロではなく色が付くようになった。また、ネット上の画像の色に反応するように自分でペインティングナイフでアクリルで上から加筆していくようになった。筆を使って描くのでなく、画像の色に反応して色を置いていく感覚を生かすにはナイフのほうが良い気がした。その後壁画やインスタレーションではなくパネルやキャンバスの形態で移動できたり残ったりする作品を作りたいと考えるようになり「画像かわいいよ画像」を制作。その後さらに作ったのが「ネオエクスデス」であり「ラヴォス」なのだけど、この2つは明確にゲームのLAST BOSSの名前から引用し名付けている。当時書いたテキストに若干手を入れつつ、以下に。

 

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http://umelabo.info/works/014neox/000.html

ネオエクスデス」2009

中心のコア的な部分にアニメのキャラクターの髪のうねりが貼り付けられていて、それを基点として全体の構造ができあがっています。(こなたとみゆき)

僕が始めてゲームをしたという記憶はマリオやロックマンなどに集約されていますが、RPGの歴史は兄が買ってきたファイナルファンタジー5から始まりました。

当時は兄のプレイを鑑賞するのが日課になっていて、初めての性的なときめきをファリスに感じたり、見たこともない様々な異形の敵グラフィックに胸をときめかせたり強さに絶望したりしてました。

ネオエクスデスという偉大なラストボス、あの異様な構造物を初めて目にした時の畏怖が忘れられません。もはや敵、魔物という具体的な物ではなく巨大で抽象的な形をもった恐ろしい何か。個でもあり全体でもある。

これほど時間をかけて鍛え上げた主人公達がまったくかなわない、圧倒的な力、【うちゅうのほうそくがみだれる!】 、形を模したというよりあのラスボスの存在自体の大きさにリスペクトをこめてのタイトルです。

画面の右側(プレイヤー側)の方に隠し要素的なキャラや敵が何人か2センチくらいの大きさで描かれています。  

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http://umelabo.info/works/019lavos/000.html

ラヴォス」2009

ネットの画像を素材にして画面を構成する作業を続けているうちに元の画像の形や特徴がどんどん刻まれていき、細かくなってきた。1ピクセル単位で刻まれた大きなデータを出力し、その上からなぞるようにして描こうとするとどうしても手のほうが追いつかなくなる。

つまり細かすぎてなぞれない。それでもなんとかなぞっていくうちに、奇妙な抽象性と複雑性が絵として出てきた。両側に引き伸ばされて拡散していくイメージは「Untitled 」という作品と同じだが、よりフレームに固定され、生々しい画材の隆起を強調し、ゴテゴテとさせた。(ガラケーをデコるための素材であるスワロフスキーなどが使われていて、キラキラしている)

基底財の処理を看板屋の職人さんに頼んだので物としての完成度はより高まり、良くも悪くも人間味が失われたように思う。

 

http://ja.wikipedia.org/wiki/ラヴォス

 

クロノトリガーのラスボスの名前。

個人的に、ラヴォスネオエクスデスほどの意味不明な畏怖感は感じないが、星に寄生するという設定など明確な生態の描かれ方込みでネオエクスデス以上に確固たる「世界が終わる恐怖感」を演出しているラスボスだと思う。

その恐怖感はゲームオーバー時にBADENDとして流れるシークエンスのある人物の「…… ラヴォス……。」というセリフに凝縮されていた。

生物として何もできないままただ世界が滅びるのを見つめる視点が提示されていたのは恐ろしかった。ただ名前をつぶやくことしか出来ない。ゲームとはいえ世界が救えない時もあるのだ。作品のタイトルは原体験的なゲームから取り、素材とする画像は現体験中のアニメやゲームから取っていますね。今気づきました。    

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といった感じです。インターネット上の画像の圧倒的な情報量、カオスな感覚をなんとか作品化してくて、組み合わせたり上から加筆したり、自分が圧倒されていたゲームのラスボスの名前をつけたりしていた。「ラヴォス」はその中でも画像の刻まれ方と加筆の仕方がブレイクコア寄りのJ-COREの如く細かく刻まれまくって結晶化されたような作品で、しかし、当時聴きまくっていたのはimoutoidでした。影響を受けていたし、影響を与えたかったアーティストです。

ラヴォス」はまた、トーキョーワンダーウォール2009というコンペの受賞作品でもありました。一回くらい何かを受賞したいという気持ちで勢いで応募し制作した、自分の中では珍しい制作動機でした。無事受賞して良かったです。TWWも今はもうなくなってしまいましたね。

 

□「壁紙」について

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今回の展示で自分の担当のスペースでは壁を覆い尽くすように画像の壁紙が貼られている。初めての個展で作った壁紙画像、高橋コレクションで行われた「カオス*ラウンジ2010」展の作品画像など大きめのデータを使用した壁面を覆うタイプの作品の画像を中心として再構築されている。壁紙の解像度とその上に設置されているパネル作品群には解像度に差があり、壁紙のほうが解像度が低いのだが(150dpiくらい)、全体の壮大な感じは壁紙によってつくられていて、作品単体のそれぞれの強度は高解像度(350dpi以上)なのもあってもともとあるのだが、それぞれ補完しあっているようにも見える。使用した主な作品名を念のため、以下に。

 

「リレーショナルカオスフィールド→結論」2009

「三度目のユカイ」 2009

「カオスをほろぼすもの」 2010

「ネオネオエクスデス☆嫁渦IIDX 2010     

「テラストラクチャーオブクィアバイン」  2010

 

「デジタル・ハードコア・クッキー・レクイエム」2013  

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「MOBILIS IN MOBILI - 交錯する現在 - 」に出品した作品。キュレーターの長谷川新氏と相談しながら、普段ネットを見る時に使ってるブラウザソフトに溜まっているキャッシュデータをそのまま扱って作品にしていくというプロセスを経た。PCとモニタとハードディスク内に記録されている一枚の画像を含めて一つの作品となっている。画像がモニタに壁紙として表示され、モニタ上に画像の色に反応するようにアクリルでペイントを施した。発光する画像の色に対してあくまで光を吸収し反射する絵の具の色がそこにはあり、異なる性質の色が共存する作品となった。

 

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「少女千万魑魅魍魎」2010  

「グラシャラボス」2010   

「東方新超死 -紅白黒白-」2010

「東方新超死 -朱鷺妹様-」2010  

 

2010年頃に制作した作品群。少し前の卒業制作やその後の作品のいくつかはコラージュでどんどん細かくなっていくうちに元の図形が分解されすぎて抽象画のようになっている傾向があった。これらのデータ作品はキャラクターや画像のもつ目や髪の毛の色形、触角、翼、など記号的な部分で特印象的な部分、キャラの記号の一番いいところを脳内で切り分け、図像としてモニタ上で再構成し、制作した。すーっとパーツ同士が特定の位置にあてはまっていくような感覚で、半ば自動的に手が動いて出来た。ドラゴンクエストファイナルファンタジーといったゲームに登場する敵キャラクターの立ち絵のような、しっかりとキャラクター然としたイメージとして着地した。特にまとまった名称などはないのだが、自分の中でも非常に印象深いシリーズで、これらの作品は原点の一つと言える。

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「ジェノサイドの筆跡」2009

初個展「エターナルフォース画像コア」にて発表した作品。ネット上の画像を収集してphotoshopでコラージュしていたのと同時に、自分でペイントした絵の具の筆跡を高解像度(1200dpiほど)でスキャンし、それで出来た画像を大きく素材として扱った。この作品の全体のアウトラインが小さな絵の具の筆跡をスキャンしたデータから取られている。ネット上のイメージも、自分の描いたイメージも同等にコラージュ素材として扱っている作品。筆跡は今(2018)も定期的に量産し、パターンを作って増やしている。ベタにリヒターの描いているシリーズにインスパイアされたものだが、最近ではネタではなく真面目に素材として使っていて、今見ると扱い方が素朴に見える。またこの作品は自宅のA4プリンタでエプソンのフォトマット紙に丁寧にプリントしたものをパネルに貼る手法で作られているので粗さや勢いがある意味すごい。貼ったあとに1、2ミリほど隙間が空いてしまって、その隙間に蛍光アクリルを塗り込んだりしているのがデジタル画像や矩形の性質に対するアンサーだと当時は考えていたがなかなか無理やりであると今では思うが、それはそれで気に入っている質感。

 

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「とある現実の超風景」2011   

2011年に震災が起き、大きな事件や社会的事象を前にしてそれに対して作家がどう反応するか、悩みながら制作した作品。逆に、2010年まではキャラ的イメージに対してのみ動物的に反応していたとも言える。2011年の5月に被災地にカオス*ラウンジのメンバーで取材をしに行き、津波によって流された痕跡や倒壊した建物を大量に見たが、当然のように何も出来なかった。現実の風景だけでなく、日々見ているインターネットの風景も変わった。それはとても自然に、例えばアニメやゲームなどの情報を普段から載せているwebサイトの管理人が東北に住んでいて被災情報を発信していたり、なんとなく普段どおりのアニメゲームの情報をtwitterで呟くのがはばかられたり、色々なことが少しづつ変わっていった。インターネットの風景をある意味ではそのまま反映して作品にしていっていたので、それに対応しないで今まで通りキャラの画像のみを扱い作品を発表していくという態度をとることは自分はできなかった。震災の風景と日本のアニメ、ゲームに関するキャラ的図像を両方取り入れて画面を作ることにした。この作品を仕上げるには今までの中で一番時間がかかり、結果出す予定のカオス*ラウンジの展覧会が遅れてしまったりと色々申し訳ないことになった。そのかいあってかどうか今までとは異なる構図となり、天地が存在し、何か大きな隆起している地面のような、津波のような、そういったものが中心に配置された。これを津波や土砂のようにとらえると不謹慎にも見えそういった批判も当時は多かったのだが、具体的にこれと限定するのではなく、なにか巨大で畏怖を感じさせる隆起物を存在させることで、力や希望にも感じられるようにした。

と色々テキストで考えてはいたのだが、2010年付近の作品は白い背景(デフォルトの【#FFFFFF】)に画像が浮いているような構図が多かったが、2011年のこの作品を機に風景然とした構図が現れてきたというのが重要なんだと思う。カオス*ラウンジ「げんじつ!」展に出品。

 

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「untitled11」 2009

untitledという連作のラストナンバー。ニコニコ動画のコメントで描画された雲と太陽がフューチャーされているスクエアのかわいい作品。「101アートフェア」という秋葉原で開催されたアートフェアに出品した作品の一つ。初個展の前の機会だったので、実質デビューのようなかたちだった。「untitled」という作品はこの時出したもので1~11までナンバリングがあって、無印の大きな作品と「ラヴォス」はニコニコ動画のコメントの弾幕の引用などが色濃く、この時期のネットの雰囲気を強く印象付けるイメージとなっている。余談だが「101アートフェア」はこの二回目の開催で以降続くことはなかったのだが、自分にとっては非常に重要な出品だった。

 

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「境界ing」2009    

手描きの作品。珍しいがこういうのもたまにやりたくなる。脳内の記憶のイメージを再構築して手に降ろしてくるという意味ではコラージュ作業でもある。勢いでケント紙に描き始めてそこからパネルに貼り付けてカリカリと電車の中などでも描き続けた記憶がある。手描きの場合、空中に浮く島のような立体物のようなモチーフと、それに付随して浮いているキャラの群れのような描写をよくする傾向にある。

 

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「境界ingEX→」

「境界ingEX←」2014

だいぶ時間があいたけど、2009年の「境界ing」続きとなる連作。「→」と「←」で対になっている。双方に印刷して貼り付けてあったりペイントしてあったりする図像や絵がそれぞれにコピーされているような対称性があったりもする。厚紙や木の板が貼り付けられていて、好きなキャラも描かれていて楽しんで描いている。photoshopばかりいじっているとたまにこういった純粋な描き作業のようなことがしたくなる。木の板にぶら下がっているキーフォルダは当時の展示会場に行く途中の道で拾ったもの。

 

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「果て死ない魔法陣」2012

「とある現実の超風景」を2011年に制作してから一年以上経過し、震災からある程度時間が経ってどういったテーマで制作しようか悩んでいた時期に考え、着目したモチーフが曼荼羅や魔法陣だった。

とはいえ自分は曼荼羅について造形が深いわけではなく、何か神的なものが色々な模様とともに描かれ、一番すごい神がラスボス的に他のすごい神などに囲まれてとにかくすごみのある絵になっているくらいのイメージだった。「経典の主尊をはじめとする諸仏の像を絵画として表現したもの。」という意味ではあながち間違っているわけではない。曼荼羅は紙や布や顔料、砂など色々な素材で作られるが、魔法陣というともっとイメージがぼんやりとしていて、これはゲームやアニメによく登場しているなという印象だった。魔法を使うための図や文字、あるいは悪魔や異界の者を呼び出すための扉として空間に作用したりする。物語の中で魔法陣は現実の物体であるものだけではなく魔法的な力で空中に光で描かれたりする。それも筆ではなく指や杖を使って描かれることもある。漫画「魔法陣グルグル」である程度力を付けてきたククリが地面や紙、布ではなく空中に光で魔法陣を杖で描いていたのはなかなか印象的だった。

魔法陣のような不思議な力で描かれた曼荼羅が空中に浮いていたらすごいかっこいいのではないか、と思った。それも何かを呼び出すための素材や供物はインターネットで見つけたキャラの破片であり、震災のかけらであり、様々な画像である。それは、震災によって生まれた天地のある空間に突如現れ、地平線の上に浮いて、何かを召喚しようとしている。

とある現実の超風景」では「なにか巨大で畏怖を感じさせる隆起物」をどしんと配置したが、この魔方陣の作品においては何かが召喚されるかもしれないが、それもまた良きものか悪きものか限定されていない。ただ、召喚するための装置の文様を自分で描くことは、なかなかに重要だと考えていた。この魔方陣のシリーズの発表のために行った個展「大地と水と無主物コア」に出品したメイン作品。

 

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「ooハート花EYE指」

「iループT高音空」

「果てのアイコン彼方のとある」

2013

ドローイングをスキャンして出力サイズを小さくすることで解像度を上げて加筆した小さな絵シリーズ

 

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「フラグメントオブアスタリスク」2015    

世界制作のプロトタイプ」という上妻世界氏キュレーションの展示に作って出した作品。作品内に使われている画像素材がまわりにそのまま配置されている。「アスタリスク」は「カオス*ラウンジ」の「*(アスタリスク)」を意識している。

 

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「キャラ出処のカオス」2012   

 

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「彼方クロニクル此方」 2015

いわきで行われたカオス*ラウンジ新芸術祭2015「怒りの日」に出品した作品。

「怒りの日」はいわゆる展覧会ではなく新芸術祭と銘打っており三年続いたシリーズの最初の催しだった。いわき駅周辺の平の複数の場所を歩いて作品を観ていく内容で、歴史や宗教と強い結びつきのある内容だった。

「彼方クロニクル此方」は曾我蕭白の「富士三保図屏風」にインスパイアされた作品。いわき駅から歩いて行ける菩提院というお寺にあった襖四枚をまるまる入れ替える形でこの作品が展示されていた。絵的にはかなり風景然としており、「とある現実の超風景」の画面意識にかなり近く、それに日本画的意識を注入したような込み入った構造になっている。

「富士三保図屏風」は滋賀県MIHO MUSEUMへ行った時に現物をみて非常に良いと思った絵。「怒りの日」を開催するにあたってどういった作品を作ればよいのか、けっこう悩んでいてその何かの突破になったらよいなと思って観に行ったのだが、本当にしっかりときっかけになった。曾我蕭白はかなり気持ち悪い天才絵師という印象を持ったが、「富士三保図屏風」はストレートに美しく富士の風景を描いており、純粋に感動した。昔の絵や有名な作品を見て感動することが自分はあまりないので(ゲームやアニメ漫画で感動する機会のほうが圧倒的に多い)、この機会を逃すまいとして曾我蕭白に自分なりに肉薄すべく、色々と画集を見たり大きめの図版を高解像度でスキャンなどしているうちに、日本画の色彩やタッチが印刷物になったときにその粒子をスキャンして画像化すると質感が非常にデジタルとマッチするという発見をした。この発見はなかなかに自分にとってはテンションが上がる事態で、「富士三保図屏風」に対する感動とこの発見に対する感動に駆動されて作品を作り上げたふしはある。他にも北斎の滝壺の絵なども引用されている。なかなか時間がかかった作品。

「彼方(かなた)クロニクル此方(こなた)」というタイトルはあの世とこの世のクロニクル的な意味合いだが、かわいい高校生のキャラ達がだらだら日常を過ごすだけの漫画「らき☆すた」の主人公泉こなたと母親の泉かなたにもかかっている。アニメ化でしっかりと描かれていたが、こなたとかなたに込められた意味合いは母親が早逝してしまった悲しみを背負っているこなたがそれとは関係なくオタクライフを楽しみ日常を過ごすという描写の背後に常に存在していて、しっかりと機能していた。それにすっかり心を打ちのめされてしまったため(当時のネットでの盛り上がりも合わさり最強に見えた)、彼岸と此岸を接続する物語とこの自分の作品を無理やりタイトルで繋げた。自分の中でも一二を争うほど気に入っている作品タイトルである。

 

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「Eee PC View2015

iPadを買う前、小さなノートPCである「Eee PC」を常に持ち歩いていた。時期としてはちょうどtwitterをやり始めていた位の2008年くらいである。イーモバイルも契約して、ようやく外でもネットができるようになったとテンションが上がっていたのを覚えている。TwitterUstreamをこれで色々な場所でやっていた。もうすっかり使わなくなったが、今までの作品の画像や展示記録の写真を高速でスクリーンショーで表示し続ける装置として愛用している。作品の画像は常々足され続けている。動画のように見えるが、MassiGraというフリーソフトで静止画を表示し続けているだけというのが重要。そもそも動画や映画は静止画を高速で表示し続けている構造なので、動画と静止画というのは厳密には区別がつかない。kona_dancerというソフトも常に起動されています。

 

自画像」 2004

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「Windows0」2001

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http://umelabo.info/works/001zero/000.html